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タイのビザ申請、「基準」はあっても現場を動かすのは「担当官」
タイのビザ取得に関しては、イミグレーションが一定の基準をWEBサイトなどで公表していますが、予告のない法改正や内部規定の変更が頻繁に行われています。
そのため、一般に入手できる情報は不完全であり、最新ではない場合も少なくありません。
公的な情報提供や周知という点では、綿密に準備して周知を行う日本の行政機関とは大きく異なる印象を受けます。
実際の現場では、「担当官の裁量」や「係官の判断」に委ねられるあいまいな運用が行われています。
同じ書類でも、どの管轄で、誰に提出するかによって結果が変わるという現実が、今も少なからず残っています。
こうした状況下では、担当官の権限によって都度判断が下されますが、その判断が必ずしも理論的・合理的であるとは限りません。
申請者が理不尽な対応に直面することもあり、ビザの発給は海外生活の根幹に関わる重大な問題であるため、抗議の声を上げたくなる場面もあります。
しかし、担当官の権限は極めて強大で、抗弁が通ることはほとんどないどころか、聞く耳すら持たれないのが実情です。結果として、理不尽な結果――すなわち「タイからの出国」「アンダーテーブル(お茶代・花代・袖の下)を支払い便宜を図ってもらう」――いずれかを受け入れざるを得ないケースも少なくありません。
変わりゆくタイのビザ行政——“お茶代文化”から透明化の時代へ。
このような状況を逆手に取り、かつては担当官とのなれ合いやコネクションを利用した抜け道的な手法のビジネス化や、現場担当官と申請者とのテーブル下でのお金のやりとりが横行していました。
現在でも、本来であれば条件不足の案件であるにもかかわらず、特別な公的サービスであるかのように宣伝されるケースも少なくありません。
しかし近年では、外国人によるSNSでの発信をはじめ、汚職への社会的批判や公務員の意識改革の進展、処理のオンライン化により、状況は急速に変わりつつあります。
タイは昔のタイならず。代行業者や、申請者にとって無自覚に行われた過去の便宜的処理を問題視されて、ビザの取消しや更新できなくなるケースも報道されていることに、注意を払う必要があります。
引用例:Newclip.be 2025年8月25日記事:「タイ入国管理局が留学生1万人のビザ取り消し、不法就労防止へ」「タイ高等教育科学研究革新省(MHESI)が2025年8月22日、滞在資格が規定に適合しない留学生およそ1万人について、タイ警察入国管理局が滞在許可を取り消したと発表した。就学ビザ(EDビザ)を悪用した不法就労への対策の一環とされる。」)