タイでの商標登録案内

最終更新日: 2025年11月1日

目次

  1. 商標とは
  2. 必要書類
  3. 商標の種類
  4. 商標登録の流れ
  5. 異議申立・不使用取消
  6. ライセンス契約
  7. タイ商標制度の概要

商標とは

商標(Trademark)とは、写真・絵・図画・印・マーク・呼称・単語・文字・数字・署名・色彩の結合・形状またはそれらの組み合わせなどを指し、事業者が自らの商品やサービスを他と区別するために使用する標識をいいます。 Trademark Act Section 4(Definition)に準拠します。

商標の種類

  • サービスマーク: サービス業に使用される識別標識。
  • 保証記号(Certification Mark): 品質・原産地・製造方法などに関する保証を示す標識。
  • 共同マーク(Collective Mark): 協会・組合・団体などのメンバーが使用する商標。

識別性がない商標や、一般的な表現・発音不能なアルファベット表記などは、単体では登録が難しく、図形化や他要素との結合が求められる場合があります。

必要書類

  • 出願者の氏名・住所(法人の場合は会社名)
  • 身分証明書または会社登記簿謄本
  • 商標図形(ラベル・ロゴ等)
  • 指定商品・サービスの説明書
  • 代理人を立てる場合は委任状(POA、公証要)

商標登録の流れ

出願はタイの知的財産庁(Department of Intellectual Property, DIP)に対して行います。 出願から登録証交付までの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 商標デザインおよび指定商品・サービスを確定
  2. 出願書類を提出(出願者情報・身分証明書・図形・商品説明)
  3. 審査および公告(異議申立期間あり)
  4. 登録料の納付・登録証交付

出願から登録までの期間は約1〜1年半が目安です。 登録日は原則として審査官が承認した日ですが、実務上は出願日と同日扱いとなるケースが一般的です。 登録後の有効期間は10年間で、有効期限満了前90日以内に更新出願をすれば、同期間の更新が可能です。

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異議申立・不使用取消

商標公告後、第三者は公告日から90日以内に異議申立を行うことができます。 また、登録後3年間にわたり正当に使用されていない場合、第三者または登録官による取消請求が可能です(Section 63)。 ただし、実務上は使用実績の立証が困難なため、取消が成立する例は多くありません。

ライセンス契約

商標権者は、商標権の一部または全部を他者に使用させる契約を結ぶことができます。 このライセンス契約は書面で作成され、知的財産庁の登録官に登録しなければ効力を有しません(Trademark Act Section 68)。 契約内容には、対象商品・地域・品質管理義務などを明記することが推奨されます。

タイ商標制度の概要

管轄Department of Intellectual Property(タイ知的財産庁)
保護対象文字・図形・記号・色彩の組合せ・立体・サービスマーク・認証マーク・共同マークなど
関連法令Trademark Act B.E. 2534(1991)および改正法(No. 3)B.E. 2559(2016)
国際条約パリ条約・ニース協定・WTO加盟国・マドリッドプロトコル対応
主義先願主義(First-to-File)
委任状(POA)必要(公証・翻訳要)
出願言語タイ語または英語(実務上どちらも可)
指定区分制度ニース国際分類(Class 1〜45)対応
商標権の有効期間登録日から10年間(更新可)
異議申立期間公告日から90日以内
不使用取消期間登録後3年間未使用の場合に請求可
更新時の使用証明不要
出願費用(目安)1区分あたり約800バーツ〜(実費・代理費用別)
早期審査制度あり(条件付)

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