突然の不幸により、言葉や制度の壁に戸惑うタイ人遺族の方がほとんどです
人は誰しも、いつか死を迎えます。
否、いつかではなく、いつでも死を迎えると言っても過言ではありません。
海外で暮らす日本人の夫を持つタイ人の妻やその家族にとって、突然の死は生活に大きな不安をもたらす出来事です。
そうしたとき、遺族年金を確実に受給することは、残された家族の生活を守るために欠かせません。
問題は、先立つ前には、先立った後の手続きはできないことです。
遺族年金とは
遺族年金とは、日本の厚生年金や国民年金の加入者が亡くなった際に、その方によって生計を維持されていた家族に支給される年金です。
制度の目的は、働き手を失った遺族の生活を保障することにあります。
この年金は所得税や相続税の課税対象外であり、また国籍を問わず支給されます。
つまり、奥さまがタイ国籍であっても、条件を満たせば日本の遺族年金を受け取ることができます。
誰が受け取れるのか?
遺族年金には2種類あり、支給対象者や要件が異なります。
1,遺族基礎年金(国民年金)
ご主人が国民年金に加入していた場合に、18歳未満(年度末時点)の子を持つ妻または子が受給できます。
子どもがいない場合は、この年金の対象外となります。
2,遺族厚生年金(厚生・共済年金)
ご主人が厚生年金に加入していた場合、子のいない妻でも受給できます。
妻が亡き夫によって生計を維持されていたこと(全額でなくても可)が条件です。
年収が850万円未満であることが目安とされます。
父母や祖父母なども一定の条件(55歳以上など)を満たせば受給可能です。
また、亡くなった方が受け取るはずだった年金が未支給のまま残っている場合には、「未支給年金」として奥さまが請求することもできます。
生前にご準備を~ご自身が死亡後手伝うことができません。
遺族年金は請求しなければ支給されません。
請求期限は原則として5年以内です。
日本年金機構への申請書類はすべて日本語で作成する必要があり、日本語に不慣れなタイ人配偶者にとっては非常に難しい手続きとなります。
さらに、被保険者(亡くなった方)の年金記録や加入状況を確認するための事前準備も欠かせません。
自身が生きている間はたやすい個人情報記入ですが、死んだ後に第三者が情報収集し、申請書を記入することはかなりの難事業です。
高額の調査費用を請求されて諦めるタイ人の方も多いです。
このため、当社ではあらかじめある程度は準備しておくことをおすすめします。
生前のうちに必要書類や年金加入状況を整理しておくことが、ご家族の安心につながります。