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名義借りやペーパーカンパニーについて

 

名義借りとか。

非製造業の場合、タイ人の名義を借りて、株主となってもらうことが結構頻繁に行われています。タイ人との交遊関係もない人が、タイに訪れ、よく知らない日本人の起業アイデアに対して102万バーツ(資本金200万バーツの場合の51%部分)を気前よく出資してくれるタイ人パートナーを探すことから始めるのは途方もなく時日を要するためです。

登記局では法人設立時に、(a)登録資本の40%以上50%以下を外国人株主が所有する会社を設立する場合、(b)外資が登録資本の40%以下であっても外国人が代表権を有する場合において、タイ人株主に対し、持ち株と同額以上の資金を有しているかの資力証明(出資契約書および銀行口座での残高証明。要9日間以上預入)を出させていますが、書類を通過させる工夫はいくらでもあります。

Oバーツ出資を認め株主になってもらう借名行為は、諸刃の剣です。設立当初は便宜が良い反面、会社が軌道に乗った場合は経営権を狙う株主になりかねませんし(これを防ぐ手立てはあるにせよ)、配当の要求や、会社閉鎖時に、出資していないのに出資金割合に応じた清算金を要求するといったトラブルも起こりえます。短期的な借名というのはよくても、何年も、しかも連絡が取れない、素性も知らない人から名義を借り続けるというのは一つのリスクです。

外国人事業法の第36条ではこう定められています。「タイ国籍者または本法による外国人ではない法人が、本法末尾の表(註:上表)に規定する事業を営む外国人の事業を援助し、支援し、共同事業とし、当該外国人は当該事業について許可を受けていない場合、または、一人の事業であると見せて外国人の事業に参加している場合、または、外国人が本法の規定を逃れ、違反するため、パートナーシップもしくは株式会社、その他法人の持ち分を外国人に代わって所有している場合、タイ国籍者もしくは外国人でない法人も併せて3年を越えない禁固刑もしくは10万バーツから百万バーツの罰金刑もしくは両方を併科する。更に、裁判所は援助、支援を止めるよう命令するか、または共同することを止めるよう命令するか、持ち分を所有することを止めさせるか、パートナーであることを止めるよう命令するものとする。もし、裁判所の命令に違反した場合、その期間中1日当たり1万バーツから5万バーツの罰金を科する」と。

よほど適当にしていない限り、つまり当事者同士で問題が起きないように認識を合わせておき、借名期限等をだいたいいつまでか定めておくなどしていれば表面化しません。出資していない証明というのはできないですから。それよりももっと多いトラブルとしては、名義料が高いとか、名義料に対して領収書が欲しいとか・・そんなセコイことを言って誰もなり手が居ない、そんなパタン。実際にタイで商売する際に多かれ少なかれタイ人を雇用するわけですから、その中でパートナーとしたい人などを探すというのがベストですね。早めに借名状態から脱するのが吉です。

ペーパーカンパニーとか。

何かの理由があり、商売をするわけではないがビジネスビザが必要な人もいます。若年者のアーリーリタイヤの方や、子供や奥様がいて学生ビザを取っても使い勝手が悪い人など。別に定期収入があるが地位がないとか、土地を会社名義で買いたい人等。

間に合わせ方式で、家賃はコンドミニアムの自宅でよい、経理は自分でしてもよいといっても、(a)日本人の給料(最低50,000バーツ)に対しての個人所得税=約3,000バーツ、(b)社会保険料 9,000バーツ×10%×4人= 3,600バーツは必ずかかります。(c)また、実態があるように見せかけるためには売り上げを作らないと資本が無くなっていきますので(タイ人給与36,000バーツ+日本人給与50,000バーツで毎月86,000バーツ、年間で1,032,000バーツ)のいくらかは架空取引の領収書をこしらえてその分に対するVATを支払わないと長期で労働許可やビジネスビザは維持できません。日本人の給料分だけでも、といっても年間600,000バーツ。納付するVATは7%の42,000バーツ。月々ですと3,500バーツかかることになります。

さて、ご破算に願いましては。(a) 3,000バーツ也、(b)3,600バーツ也、(c)3,500バーツ也、合計で10,100バーツ。さらに自分で会計処理をせず外注する場合や、オフィスをレンタルする場合や、年間でかかる決算費用や労災基金や事業地税などはこれに含まれていません。タイ人を借名する場合もタダでは問屋が下ろしません。やはり謝礼を要求されます。そうすると、ざっと月々20,000バーツは最低でもかかってしまうというのが実情でしょう。労働省やイミグレーションの見回りで実態がないのが表沙汰になるリスクもありますから、月額20,000バーツでは到底済まないと見積もったほうがよいでしょう。

年間24万バーツ。さらに法人ですから年次決算もかかりますよ。決算については売上げがないことを理由に拒否できません。3-4万バーツかかって27万バーツ。

やはり事業をしないならばビジネスビザの取得はコスト的に意味がないのではと思ってしまいますね。ビザが欲しいだけ、土地を持ちたいだけなら他に方法を考えたほうがコストに見合います。

無い物 理由 対応 リスク コスト
資本金
200万バーツ
不要 印紙貼付
決算時に現金残高が不足。安易な起業
印紙代(1回きり)
会社設立場所 不要
仮住所(バーチャルオフィス、コンドミニアムやアパート、知人宅や知人の会社をシェア)
社会保険庁、見回り時に実態がないと社会保険登録ができない
5000バーツ位
タイ人の代表
人材紹介、旅行業など外国人代表者単独の会社では取得できない
借名 乗っ取られるリスク
**,***バーツ(責任を負わされかねないので通常は借名料が高い)
タイ人の株主 出資してくれる合弁先がない 借名
会社閉鎖時に出資比率に応じて金銭を要求される
知らない間に株主総会が開かれたり議決権を行使をされかねない
*,***バーツ
タイ人の従業員
不要またはまだ事業がスタートしていない
借名
社会保険行使の際、タイ人が自分の会社を言えない場合や、社員が他で働いてしまって2重登録などをしたとき、借名が発覚するリスクがある。
株主が借金をしたとき会社に問い合わせが来てしまう
 *,***バーツ/毎月または年間、この他、タイ人従業員4人分の社会保険3,600バーツ/毎月
売上げがない
実際に日本人や登録人数分のタイ人社員が働いておらず売上げが不足している
架空売上げの申告
少なくとも労働許可を持っている日本人以上の売上げがないと労働許可の更新がしづらい

例年赤字の場合は税務調査もある。
少なくとも日本人給料50,000バーツ、タイ人従業員最低給料×4人分で36,000バーツ。合計86,000バーツ。これに対するVATが6,020バーツ、及び、個人所得税で個人所得税で2,500バーツを「毎月」払う必要がある。

個人事業を会社化する前にご検討を

 上述したようにビザ目的でのペーパーカンパニーはコストがかかるのでお勧めしないのですが、お客様の事業によっては、結果的にペーパーカンパニー同然になる場合があります。多いのがインターネットを使って商売されている個人事業的な方々(Web製作やデザイナー、プログラマー、何かのシステムの管理者、アフェリエイター、ECサイトオーナー)ですが、もっと大きな範囲で、もともと個人で事業をされているような方が、ビザに困って会社を持ちたいといったケースです。

 

 具体的に申しますと、スーパーアフェリエイターさんとかECサイト王とかカリスマFXトレーダーみたいな個人事業者の方が会社をもちたいといったケースでは、タイの場合では、会社が必要なのではなくて、ビジネス・ビザを取りたいだけだったりしますから、安易に会社設立をされて、結果、思うようにいかず、ああ、こうじゃなかった、といってクローズされる結果に終ることが多いです。

 誤解のほとんどが次です。

1.設立コストが全てだと思っていて、維持コストがかかることを認識してなかった。
2.法人があるからといって簡単にビザが出るわけではないということが分かってなかった。
3.雇用も売上げもないので税金もゼロ、維持費も不要だ、という認識でいた。
4.ビザも労働許可も事業活動があることが前提なので、そう見せるためのコストがかかるということが見えてなかった。
5.税金は毎月払わなければいけないとは思っていなかった。
6.税金は滞納してもある時払いでよいと思っていた。
7.会社設立後の経理処理や事務手続きなどはタダだと思っていて(会社設立費用に含まれていて?)、自分でしなくてもよいか、社員を雇わないで済むと思っていた。
8.タイ人の借名などは簡単だと思い込んでいた。
9.会社の住所なんてどこだって使えるのでしょう?と思い込んでいた。

 タイだと簡単に会社設立ができる、ということは本当ですが、雇用も生み出さず、事業もしない、といったケースでは、嘘の前提をごまかし続けないといけないので、通常の商売よりも余計にコストがかかると思って間違いありません。重要なことなので繰り返しますが、大なり小なり、書類に嘘の要素が入ると、糊塗するために、普通よりも余計にコストがかかります。

タイが軍事政権になってからは、観光ビザや学生ビザでの長期滞在が事実上不可となったので、お金には困ってないので大丈夫です、と言うような自称スゴい方が多く当社を訪れて会社設立されたのですが、毎月の税金や事務処理費を払わずか払えずか、いずれにしても滞納されて、そのうち連絡が取れなくなってしまう、場合によっては会社を作らなかったことにできないかと返金依頼されてしまうという問題が出てきました。

 起業については、検討に検討を重ねて行うことをお勧めします。
[タイで法人設立をする場合の重要事項(2015/2/13記)]
会社設立のため、当初住所地の選定がもっとも重要な事項です。法人登記は住所があればどこでも可能でしょうが、安易に考えると後々非常に問題が起きます。


●法人設立手続きでは、オーナーとの賃貸契約書や登記住所の書類(タビアンバーン)を必要としますが、日本人が賃貸契約を結ぶ場合、オーナー然としているタイ人の方が書類上ではオーナー(所有権者)ではないケースが非常に多いです。実際のオーナーは家族の方であったり、相続手続きをしていなかったり、です。酷いケースだと、真のオーナーには無断で、又貸ししているケースが多いです。オーナーからの使用承諾がない場合は手続きが進められません。

●オーナーは個人相手には快く貸しますが、法人に対して貸すことを嫌がるケースが少なくありません。法人設立する場合は、法人は税務署に対して家賃を経費申告しますが、これは裏返せばオーナーに家賃収入があることが税務署にばれてしまいます。複数不動産を持っているオーナーなどは、莫大な個人所得税の課税を恐れて、法人設立をするなら高額な賃上げや住所を貸せないといった話になることが多いです。

●法人設立後、外国人が就労する会社は税務登記が必要ですが、アパートやコンドミニアムでの税務登記が認められないことがほとんどです。法人登記後に次の手続きが進まないといって当社にご相談に来るケースはこのパタンが非常に多いです。

●書類上や対税務署との交渉でうまく税務登記ができても、バーチャルオフィスなどの住所貸しの場合なども含め、労働省や社会保険局の係官の見回りが多く、結果、実態がないとされたり、労働環境に問題があるとされる結果、ビザや労働許可の更新に問題が起きることもしばしばです。

●オフィスのシェア、遊休施設のシェアなどについては、タイでは賃貸契約書に禁止されていることがほとんどですので、知人のオフィスを借りるというような場合は直接オーナーに許可を得る必要があります。

ペーパーカンパニーや、実態はあるが個人で経営する形態の商売について、タイの制度は対応していないと考えたほうがよいです。小手先の当座対応では一つの問題が解決しても、また別の問題が起きます。本当に、タイでの会社設立においては住所地の選定を甘く見ないほうがよいです。


 


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