リタイアメント/ロングステイビザ/タイランドプリビレッジについて

最終更新日: 2025年11月1日

目次

  1. ビザごとの特徴を理解しよう( O / O-A / O-X /Thailand Privileg )
  2. 申請時に必要な条件と留意事項
  3. 更新時におけるビザごとの注意点
  4. よくある誤解と押さえておくべき重要事項
  5. タイのリタイアメントビザをめぐる最新動向(2025年版)

年齢別・タイで悠々自適に過ごしたい方の為のビザ

Thai Airways International
画像:タイ航空 タイは若いうちに行け/タイラブユーほか
https://www.youtube.com/watch?v=c5VQ1iebt5s

満50歳以上の方で、働かずタイ生活を過ごしたい目的で申請ができるビザには、(Non-Immigrant-O:非移民ビザのOtherカテゴリー)があります。専門的には主に以下の3つの種類がありますが、一般的には「リタイアビザ」「ロングステイビザ」「退職者ビザ」「年金ビザ」「Oビザ」等、さまざまな呼び方をされおり、正確な区別がついていないことが多いです。弊害としてはこのため、申請者側に、申請者側で誤解や混乱が生じがちです。「管轄や担当官により審査基準が異なる」「個人ブログ等の過去情報を調べ過ぎて、申請書類がちぐはぐになっている」等々です。

本来このカテゴリーのビザを申請するにあたっては、自身に関係のある管轄(イミグレーションや大使館)申請時期にのみ注目し、フォーカスすべきです。このビザの趣旨としても、悠々自適なタイ滞在を楽しむべきであって、まとめサイトの作成や移住ガイド的な動画制作を目指すわけではないと思います。ご不安であれば、宣伝となりますが、当社にもご依頼いただければ幸いです。

50歳以下の、アーリー(早期)リタイヤの方に関しては、タイランドプリビレッジ(Thailand Privilege,旧:タイランドエリート)の申請がおすすめです。一昔前は、タイと言えばバックパッカーの聖地的なイメージもありましたが、昨今では、ビットコイン長者や、米株長者、オンラインビジネス長者等の若者の移住もこのビザを取得し、滞在されることが多いです(こちらも当社で取り扱っております)。

1.ビザごとの特徴を理解しよう( O/O-A/O-X/Elite )

カテゴリー 新規申請場所
/滞在期間
家族帯同
/保険加入義務の可否
Non-O
(Retirement)
タイ国内イミグレーション(居住する管轄)・在外公館(タイ大使館・領事館)/90日 実際上、帯同家族不可/指定医療保険加入義務なし
Non O-A
(Longstay)
在外公館(タイ大使館・領事館)/1年間 家族帯同可/指定医療保険加入義務あり
Non O-X
(Longstay 10 Years)
在外公館(タイ大使館・領事館)/5年間 家族帯同可/指定医療保険加入義務あり
タイランドプリビレッジ
(旧:タイランドエリート)
タイランドプリビレッジ事務局/入国ごとに1年 家族滞在(プランによる)可/保険加入義務なし

ビザの条件と概要

項目 概要
年齢要件 O/O-A/O-Xビザの申請者は満50歳以上であること。
経済的要件 Oビザ:タイ国内銀行に80万バーツ以上の預金残高維持(在外公館での新規取得の場合は日本の銀行口座残高でも可)または月額年金65,000バーツ以上、あるいは預金と年金受給額の合算可。
O-Xビザ:タイ国内銀行に300万バーツ以上の預金残高維持が必要。
タイランドプリビレッジ 年齢条件なし。

2.更新時におけるビザごとの注意点

カテゴリー 更新申請場所
/滞在期間
備考
Non-O
(Retirement)
タイ国内イミグレーション(居住管轄)/1年間 原則、帯同家族なし(配偶者年齢55歳以上、夫口座に160万バーツ等の条件)
Non O-A
(Longstay)
タイ国内イミグレーション/1年間 更新時はNon-Oビザ運用となる
Non O-X
(Longstay 10 Years)
タイ国内イミグレーション/5年間(1回のみ) 家族帯同可能/指定医療保険加入義務あり
タイランドプリビレッジ
出入国のみ 入国ごとに1年間の滞在許可

3.よくある誤解と押さえておくべき重要事項

Oビザについて

  • 80万バーツは基本崩さず、残高維持をお勧めします。2025年現在の規定では、ビザ申請の前の2か月間とビザ更新後の3か月間についてのみ通帳残高80万バーツ維持が条件ですが、実務的にはトラブルが多いのが実情です。 よくあるケースとしては、全額定期預金に移動したり、貯蓄と思って投資信託を買うなどで、ビザ更新に支障が出ることがあります。
  • 資金の出所証明:Oビザ制度の根底には、外貨獲得政策があります。そのため、かつては就労ビザから退職後にOビザへ変更が認められた時期もありましたが、2025年現在では原則として不許可となっています。
  • 資金送金の証明は、銀行間送金(SWIFT)による必要があります。マネーロンダリング対策もあり、Wise等の非公式送金サービスやCrypt通貨での送金は証明書として認められません。
  • 家族滞在については、配偶者年齢55歳以上、夫口座に160万バーツ等の条件がある等、実際上は個別にビザ取得を取るのと変わらないと考えた方がよいでしょう。本件は、O-Aビザの更新を予定される方には、注意が必要です。
  • 住所条件:旅行者的なホテル滞在では認められず、正式な賃貸契約または自己所有物件での居住が必要です。賃貸契約書の名義が本人以外であったり、契約期間が切れていたり、所有者と契約書上の貸主名義が一致しない場合などは、TM30届が提出されていても不適切な居住と見做されます。

O-Aビザ/O-Xビザについて

  • 指定医療保険への加入が義務付けられています(最低補償額の定め有り)。
  • 制度上は配偶者帯同が可能ですが、在外公館とタイ国内イミグレーションの運用の違いにより、タイ国内での延長時に認められないことが多いと考えた方が良いです。

タイランドプリビレッジ

  • タイランドプリビレッジ(Thailand Privilege,旧:タイランドエリート)では入会費扱いとなるため、数十万~百数十万バーツの会費については返金されません。O/O-A/O-Xビザでは、預金残高を本人名義で維持する必要があり将来的に引き出し可能であるのとは異なるので事前理解が重要です。(Thailand Privilege(旧名称:エリートカード)について

ビザの切り替え不可

  • リタイアメントビザ(Non-Oなど)からビジネスビザ(Non-B)へのタイ国内での変更は不可です。再就職される方はまずはビザをキャンセルし、出国する必要があります。
  • O-AやO-Xビザのキャンセルは、発給を受けた在外公館で行う必要があり、タイ国内イミグレーションでは受理されません。
  • エリートビザから他のビザへの切替も制度上、不可です。
  • O/O-A/O-Xビザ/エリートビザのどれもが、就労者を対象としたものではなく「就労禁止」です。違法行為で晩節を汚さない為にも、タイでの就労を行う場合は「就労ビザ」、日本でのリモートワーク等を目的とする場合は「DTビザ(Destination Thailand Visa) 」の取得が適切です。

4.タイのリタイアメントビザをめぐる最新動向(2025年版)

1.タイ国内銀行の政策の変化

  • 口座開設:鶏と卵問題の状況です。新規ビザ取得には銀行口座開設が必要ですが、不良外国人によるマネーロンダリングや詐欺事件の社会問題化により、ノービザや短期滞在での口座開設は事実上不可能となっています。
  • 残高証明:2025年より、バンコク銀行などで残高証明書を取得するには4か月以上の残高維持が必要となっています。

2.イミグレーションの政策の変化

hai visa 15 month

昨今のイミグレーションの審査では、過去のビザ手続きの正常取得が確認されます。かつてはフリーペーパー等を通じて条件不足でも延長を請け負うようなグレーな手続きが横行し、「滞在許可15か月」「最短●日で1年3カ月ビザ」などの違法手続きが堂々と存在した時期(一部まだしている)もありました。こうした履歴がある場合、ビザの許可基準を満たしていても、翌年以降、更新で不許可となるケースが増えています。期間限定でタイに住むだけなら良いのですが、向こう何年かちゃんと移住したいなら、リスクがないかご自身で検討するべきです。

3.基準変更の兆し

コロナ禍以降、インフレを背景に預金残高基準の引き上げの検討保険加入の義務化が検討されています。タイも既に後進国ではありませんし、シンガポールやマレーシア等の周辺国でのリタイヤ基準の引き上げもあり、時代の流れと言えるでしょう。


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